旅に出るなら700C

はじめに

このページでは、市販のシティサイクルを改造してツーリング自転車を制作する方法を紹介します。このような改造は完成車メーカーの想定する使用条件を逸脱するもので、フレーム等の強度部品への加工を伴うものですので、改造・使用にあたっては慎重に、かつ自己責任でお願いします。

  1. 素材となるフレームの入手

    まず、改造の素材となるシティサイクルを入手します。26インチでも27インチでも700Cのホイールを入れることができます。ただし、26インチでは28Cくらいまでしかタイヤを太くできません。クロスバイクのような太いタイヤを入れたい人は27インチにするとよいでしょう。

    今回は軽さを重視して、宮田クオーツエクセル(26インチ)を使用することにします。2,3万円で入手できます。

  2. シティサイクルの分解

    シティサイクルの部品のうち、利用するのはフレームとマッドガード、前ブレーキくらいのものですので、その他の部品は全部取り外してしまいます。別にハブやクランク、ホイール等を流用してもいいのですが、シティサイクルの部品は精度が低い上に重いので、軽快な走りの邪魔になると思います。ほとんどの部品はボックスレンチ、スパナ、アーレンキー等の普通の道具で外せます。

    特殊工具が要るのは、クランクとBBの分解です。クランクを抜くにはコッタレスクランク抜きが必要です。BBの分解にはロックリングプライヤー

    ロックリングプライヤー

    が必要です。

    あっそうそう、チェーン切りも要りますね。チューン切りはチェーンを切るにもつなぐにも使います。

  3. フロントエンドの加工

    フロントハブのハブシャフトの径は、シティサイクルが8mmなのに対してスポーツ車は9mmです。ドリルとやすりを使ってエンドの穴を広げます。また、マッドガードのステーはシティサイクルではハブ軸に取り付けられていますが、クイックリリースを使うときに邪魔になるので、ドリルで5mmのダボ穴をあけます。

    フロントエンド

    実はエンドの幅もシティサイクルはやや狭いのですが、これはフォークをえいやっと広げて解決します。

  4. ブレーキ台座の加工

    26インチのシティサイクルに700Cのホイールを入れると、リムが大きくなるので元の前サイドプルブレーキを使えません。そこで、ロードレーサー用のアーチの短いサイドプルブレーキを使うのですが、取り付けボルトの径の関係で、フォークの後ろ側の穴を6mmから8mmに広げる必要があります。同時にマッドガードの金具の穴も広げておきましょう。

    フロントブレーキ
  5. 後ブレーキ台座の制作

    シティサイクルには通常後車軸に「サーボブレーキ」「ローラーブレーキ」が装備されています。ホイールを交換すると、これらのブレーキは使えないので、サイドプルブレーキを付ける必要があります。ところが、シティサイクルにはシートステーブリッジがないのです。マッドガードを支えるための2mm厚のアルミ板はあるのですが、ここに直接ブレーキを付けるとグニャグニャしてしまいます。そこで、アルミのアングル材(3mm厚)を向かい合わせにネジ止めして、ボックス形状のシートステーブリッジを作ります。ここにブレーキを付ければ強度は十分です。

    リアブレーキ
  6. マッドガードステーの工作

    マッドガードが不要な方は取り外してしまえばすっきりするのですが、今回はツーリング車の制作ですから、マッドガードは必須です。

    ハブ軸に取り付けるシティサイクルのマッドガードは、クイックリリースの意義をなくしてしまうので、ステーの先端の輪になっている部分を切ってステンレスの6mmパイプを付けます。ステンレスパイプの一端を平らにして5mmの穴をあけ、内径をドリルで5mmに広げたものを作り、ステーに差し込んでエポキシ接着剤と「かしめ」で固定します。

    リヤエンドにもステー取り付け用の5mmのダボ穴をあけます。

    リヤエンド
  7. チェーンホイールの制作

    BBとチェーンホイールはスポーツ車のものを使います。MTB用もロード用も使用可能です。今回の宮田はBBの幅が68mmでしたので、シマノのカートリッジBBが問題なく取り付け可能でした。

    今回の自転車は「シングルツアラー」ですので、チェーンリングは一枚しか使いません。MTB用ならセンターギア、ロード用ならダブルのインナー側を使うことになります。アウターギアを外してしまうと固定ボルトの長さが余ってしまうので、DURAACEのトラック用シングルギア固定ボルトに交換します。

  8. スプロケットの制作

    スプロケットはロード用の9段のものを使いました。とはいえ「シングルツアラー」なのでギアは1枚しか使いません。スプロケットのギアを束ねている長いリベットの頭をドリルでつぶして、ギアをばらばらにします。その中から好みの1枚を取り出してカセットフリーに取り付けます。そのままではギアの位置が定まらないので、チェーンラインを出したうえで両側を塩ビの水道パイプで固定します。

    スプロケット
  9. 組み立て

    後は、普通のスポーツ車の組み立てと同じです。ホイールを自分で組むのもよし、完組ホイールにするのもよし。ドロップハンドルでもフラットハンドルでもお好みでどうぞ。ステムはノーマル(スレッド)タイプのノーマルサイズです。26インチの場合はシートピラーが短かすぎるのでMTB用のシートピラーを入手するのをお忘れなく。

  10. インプレッション

    最初はマウンテンバイクのフラットハンドル、クランクセットはマウンテンバイクのセンターギア(32T)、スプロケットは14Tという仕様で組み立てました。

    このギア比なら、たいていの坂は乗って上ることができます。もちろんダンシングでせっせと漕がないといけませんが。ただし、最高速は32キロ程度が限界です。ややローギアードすぎる設定ですね。ダートでも問題なく走ることができました。この仕様で「春の100キロライド」に参加するため、会場への往復を含め160キロを8時間で走りました。ツーリング車としての性能は十分だと感じました。

    問題点としては、重量がそれほど軽くない(実走状態で9.3キロ)ことと、荷物を背負うのはツライということです。軽量化とバッグ類の装備が今後の課題です。

  11. その後・・・

    1. フロントバッグとサドルバッグを取り付けられるようにしました。ツーリングだけでなくお買い物にも便利です。

    2. スポークを細くして本数も少なくした軽量ホイールを組みました。このホイールには小さめのスプロケットを組み合わせてオンロード仕様に、従来のホイールには28Cのタイヤを付けて林道仕様にしました。

    3. 後ブレーキを効きの悪いシティサイクルのブレーキからディアルピボットのロード用に換えました。制動力とフィールは抜群です。

    4. クランクセットはロード用のダブルのインナー(39T)を使うことにしました。

    5. ダンシング中にチェーンが外れるというトラブルが発生しました。フレームが剛性不足で大きく捩れるのが原因のようです。そのうちフレームがぽっきりと疲労破壊するのではないかと思うとぞっとします。次回はトラックレーサーのフレームをベースに改造したほうが安全そうです。

  12. シングルツアラー構想は「継続審議」に

    シティサイクルのフレームが強度不足であるという問題は、使用するうちに深刻になってきました。ペダルに力をかけるとフレームが目に見えて捩れるようになって、チェーンもはずれます。これだけ捩れているとアルミフレームの疲労破壊が心配です。高速でダウンヒル中にぽっきり折れたら命にかかわります。

    それで、「シングルツアラー(1号機)」はその部品をロードレーサーに譲り渡して引退することになりました。シングルのツーリング車そのものには可能性を感じるので次はトラックレーサーかTREK7400をベースに作ってみたいと思いますが、そんなに自転車を次々買うわけにもいかないので「継続審議」扱いにしたいと思います。



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